レビューのためのブログ
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『愛をください』
辻仁成著 新潮文庫 -- 私が辻仁成を好きになるきっかけになった本。 数年前、長く電車に乗るからと書店に寄って、たまたま目に留まって買った。 あるふたりの人物の手紙のやりとりだけでほとんど構成されている物語。 主人公が、文通の相手に励まされて、ときどきは相手を励ましたりもしながら、絶望していた人生の中に幸せを見つけられるようになっていく話なのだけど。 私は、なんだかこの主人公"李理香"の絶望がわかってしまうような気がして、だけど必死で希望を探す姿も、ああ、私にもこういう部分が、って思ってしまって、小説なんて多かれ少なかれどれにも、だれにもそういう部分があるから面白いのだろうけど、でも、辻仁成の作品に私はそれが多い気がして、例に漏れずこの物語の主人公にも、そのような感覚を覚える。 それが、苦しい。 そして、李理香が幸せを見つけたことを素直に喜べない読者の私がいるんだ、変な話だけど。 このふたりの関係が、どうも、私とあるひとの関係に似ている。 あるひと、とは、会ったことはないけれど私の多くを知っているひと。年上のひと。男のひと。 私たちの場合、文通ではなくてメールだけれど。 私たちの姿も無意識に重ねながら読む。 苦しかったり、かゆかったり、ほんとうに自分を見ているようであったり。 タイトルにもある、愛、という言葉の意味がわからなくなったら、その存在を疑わずにいられなくなったら、この本を読みたいとおもう。 ただ、一回目に読んだときほどの衝撃はなくなっていた。 私の感性が変わったのか、慣れてしまったのか、わからないけど。 PR |
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